含水率とクッション値の見方 — 馬場状態の4段階と、競馬場ごとの実際の数値
「良馬場」と発表されていても、走りやすさは日によって違います。馬場状態の4段階と、JRA が毎週発表する含水率・クッション値の意味を、図と実際の数値で整理しました。
事実(JRA 公式の説明をもとに要約)
馬場状態の4段階
芝もダートも「良・稍重・重・不良」の4段階です。最も乾いている状態が「良」で、水分が多くなるほど稍重・重・不良になります。
馬場状態は、含水率の数値で自動的に決まるわけではありません。JRA の馬場担当者が実際にコースを歩いて確かめ、全体を総合的に判断します。含水率はその参考の1つです。
含水率とは
- 馬場から取った砂に含まれる水分の割合(重さの%)です。15%なら、100gの砂に15gの水分が含まれています。数値が大きいほど湿っています。
- 芝コースは芝(根・葉・茎)を取り除いた路盤の砂、ダートコースは表面のクッション砂を、内柵から1mの場所で取ります。
- 赤外線水分計で、砂を加熱して蒸発した水分から測ります。
- 芝では、表面ではなく少し下の層の水分を測っていることになります。
芝の含水率は、競馬場どうしで比べられない
芝の路盤に使っている砂と土壌改良材(堆肥・ピートモスなど)は、競馬場ごとに違います。そのため、同じ含水率でも、競馬場によって馬場状態との関係が違います。たとえば東京競馬場は、ほかより多くの堆肥を混ぜているため、良馬場でも含水率が高めに出ると説明されています。一方、ダートのクッション砂は競馬場による大きな違いがなく、含水率と馬場状態の関係は全競馬場で同じです。
クッション値とは
- 馬が着地したときの、馬場の反発の強さを数値にしたものです。数値が高いほど反発が強く(硬め)、低いほど軟らかめです。
- クレッグハンマーという測定器で、2.25kgの重りを45cmの高さから落とし、ぶつかったときの衝撃を測ります。1か所で4回落とし、4回目の値を使います。
- 内柵から2〜3mの範囲で1地点5か所を測って平均し、ゴール前・4コーナーとその間の地点の値を公表します。
- 含水率が芝の下の路盤だけの状態を表すのに対し、クッション値は芝と路盤の両方の状態を表します。含水率が高いほど、クッション値は低くなる傾向があります。
| クッション値 | 馬場の表面の状態(JRA の目安) |
|---|---|
| 12以上 | 硬め |
| 10〜12 | やや硬め |
| 8〜10 | 標準 |
| 7〜8 | やや軟らかめ |
| 7以下 | 軟らかめ |
洋芝と野芝
札幌・函館は洋芝、本州より南の競馬場は野芝を使っています。洋芝は地下に細い根が密集した層を作り、水分も多く保つため、野芝の競馬場よりクッション値が低くなる傾向があるとされています。
いつ発表されるか
含水率とクッション値は、開催の前日(金曜)の昼過ぎと、開催当日のおおむね9時30分ごろに、JRA の馬場情報で発表されます。
出典: JRA「馬場状態およびクッション値に関する情報」(2026-10-06 に確認)。上の文章は要約で、細かな条件は原典で確かめてください。
実際の数値: 競馬場ごとのクッション値
JRA が公開している過去の含水率・クッション値(開催日の朝の測定)を、2025-01-04〜2026-09-27 の760日分、競馬場ごとにまとめました。
| 競馬場 | 測定日数 | クッション値 最小 | 中央値 | 最大 | 芝の含水率 中央値 | ダートの含水率 中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 42 | 6.9 | 7.6 | 8.2 | 13.5% | 6.0% |
| 函館 | 36 | 6.2 | 7.1 | 8.0 | 14.6% | 5.2% |
| 福島 | 52 | 8.3 | 9.2 | 10.0 | 11.2% | 2.9% |
| 新潟 | 66 | 7.1 | 9.4 | 10.0 | 12.2% | 5.0% |
| 東京 | 108 | 6.4 | 9.5 | 10.4 | 13.8% | 4.1% |
| 中山 | 113 | 6.0 | 9.7 | 10.8 | 12.6% | 7.1% |
| 中京 | 76 | 7.5 | 9.9 | 11.0 | 12.6% | 3.4% |
| 京都 | 100 | 8.6 | 10.5 | 11.3 | 8.9% | 4.4% |
| 阪神 | 107 | 7.8 | 9.0 | 10.3 | 13.2% | 6.3% |
| 小倉 | 60 | 7.7 | 9.4 | 10.8 | 9.0% | 3.6% |
集計: ケイバの地図(JRA の公表値から)。芝の含水率はゴール前の値。芝の含水率は、上の説明のとおり競馬場どうしでは比べられません。
ケイバの地図の見方
クッション値の中央値が低いのは函館(7.1)と札幌(7.6)で、どちらも洋芝の競馬場です。JRA の説明どおり、洋芝の競馬場は低めに出ていました。そのほかの競馬場の中央値は、ほとんどが「標準」から「やや硬め」の範囲です。
クッション値や含水率と、レースの結果(どんな馬が勝ちやすいか)の関係は、この記事では調べていません。AIの見落としと馬場の関係の研究も参考にしてください。